障がい者が起業する際に知っておきたいこと

起業家の中には、やりたいことを実現させるために事業を立ち上げる方もいれば、「自分にできること」を軸に考えて事業を立ち上げる方もいます。

「障がいを持っているから起業は難しい。」そのように悩む方も多いでしょう。

しかし、できないことではなく「できること」を軸に考えてみると、就職先を探したり、就業先の環境に無理に合わせるよりも、負担の少ない働き方が実現できるかもしれません。

今回は起業をしたいと考える障がいをお持ちの方へ向けて、支援事業や支援金制度についてご紹介します。

支援制度

減税制度

  1. 納税者が障害者の場合の減免(個人事業税の減税)
    要件としては、所得金額の合計が370万円以下であること、納税者もしくは扶養親族の方が障がい者であることの2点となります。個人事業税は、定められた所得金額を超えた場合に課される税金なので、減税や猶予の申請ができるのであれば嬉しいですよね。また、個人事業税の減税制度における、「障がい者」の定義を一部お伝えすると、以下のような内容となっています。

    ■精神上の障がいによって事理を弁識する能力を欠く常況にある
    ■児童相談所などの判定によって知的障がい者とされている
    ■精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
    ■身体障害者手帳に身体上の障がいがあるものとして記載されている
    ■戦傷病者手帳の交付を受けている
    など
    「扶養親族」についても定義されていますので、詳細は「東京都主税局」のホームページをご覧になってみてください。

    高額医療費に該当する場合も、個人事業税が減免される
    障害を持つ方の多くは、定期的な通院をされている方が多いのではないでしょうか。
    通院により、高額医療費の支出があった場合も個人事業税が減免されるケースがあります。
    条件は、医療費の合計額が(合計所得金額×20%-25万)<(医療費※保険金等による補てん部分を除く)であることになります。
    該当する医療費は、通院費はもちろん医薬品の料金、通院にかかる交通費、医療器具の代金などが該当します。
    詳細:東京都主税局 【減免・猶予等】Q12 高額な医療費の支出があったとき

補助金・助成金

助成金や補助金は、原則として返金不要であるため、上手く活用したいところです。

  1. 生涯現役起業支援助成金
    生涯現役起業支援助成金は、厚生労働省による助成金制度です。
    40歳以上の中高年齢者の方が起業し、中高年齢者などの従業員を雇い入れた際に要した費用の一部が、助成される制度となっています。
    この助成金は「雇用創出措置助成分」と「生産性向上助成分」の2種類に分けられており、要件がそれぞれ異なります。

    ■雇用創出措置助成分の受給要件
    ・起業から11か月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長より認定を受けていること
    ・事業継続性の確認として、厚生労働省により定められた事項に当てはまること
    ・事業計画の期間内に一定数以上の新たな雇い入れがあること
    ・申請書を提出した日の段階で、事業計画の期間内に雇い入れた従業員の過半数が、離職していないこと
    ・起業から支給申請日までの間、離職者の数が事業計画の期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていないこと

    ■生産性向上助成分の受給要件
    ・申請書を提出した日の時点で、「生涯現役起業支援金 雇用創出措置に係る計画書」において認定された事業が継続していること
    ・「雇用創出措置助成分」の申請翌日から生産性向上助成分の申請までに、雇用保険被保険者が事業主の都合によって解雇されていないこと
    ・「障がい現役起業支援金 雇用創出措置に係る計画書」を提出した日が属している会計年度と、その3年度を経過した会計年度を比較し、伸び率が6%以上であること受給限度額1.雇用創出措置助成分の受給限度額・起業者が60歳以上の場合…助成率は2/3、上限額は200万円
    ・起業者が40歳~59歳の場合…助成率は1/2、上限額は150万円2.生産性向上助成分の受給限度額
    ・「雇用創出措置助成分」で支給された金額の1/4にあたる額を別途支給

    申し込み窓口
    生涯現役起業支援助成金は、各地の「労働局」「ハローワーク」で申請が可能となっています。
    生涯現役起業支援助成金の詳細(厚生労働省ホームページ)

融資制度

  1. (茨城県)女性・若者・障害者創業支援融資制度
    女性・若者・障害者創業支援融資制度は、女性、若者、障がい者のいずれかに当てはまり、茨城県内に住所や事業所を置く起業予定の方、もしくは起業から間もない方が申請可能な、茨城県による融資制度です。

    この融資制度における「若者」と「障がい者」の定義
    (若者) 融資を申し込んだ時点で35歳未満
    (障がい者) 障害者手帳を所持 融資対象者

    1.茨城県内に住所もしくは住居を置いている方は、下記のいずれかに当てはまることで、融資対象者となります。
    ・事業を営んでいない個人で、1か月以内に事業を開始するための具体的な計画がある
    ・事業を営んでいない個人で、2か月以内に会社を設立し、その会社が事業を開始するための具体的な計画がある

    2.茨城県内にすでに事業所を置いている方は、下記のいずれかに当てはまることで、融資対象者となります。
    ・事業を営んでいない個人で事業を開始し、5年以内である
    ・事業を営んでいない個人により設立された会社で、5年以内である

    申し込み窓口
    女性・若者・障害者創業支援融資制度は、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会で申し込みが可能です。

    融資限度額
    設備資金の場合は3,500万円、運転資金の場合は3,500万円が限度額とされています。
    ただし、設備と運転の併用資金として申し込むこともでき、その場合の限度額も3,500万円です。
    信用保証料は原則として年0.9%と定められていますが、2022年3月31日までは0.45%引き下げられ、引き下げ後の保証料率の10割を茨城県が補助してくれることになっています。
    大きな金額を融資してくれる可能性のある制度となっていますので、茨城県にお住まいで、起業の具体的な計画がある方は、検討してみてもよいかもしれませんね。



障がい者の方の起業は難しいと考える方も多いかもしれません。

しかし、寝たきりの状態で起業し、現在も事業を続けている事例や、弱視の方がクラウドファンディングを活用して資金を集め、出版社を立ち上げた事例もあります。

支援事業の活用や、起業に関する具体的な計画の思案など、勇気をもってぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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